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森博嗣「スカイ・クロラ」シリーズ [読書・鑑賞]

ブクログには書ききれない分量になったので、こちらにメモしとく。

★スカイクロラ

【内容】
ずいぶん前に読んだので、もう内容ははっきりしていない。
「ナ・バ・テア」を読むことにしたので、書くことにした。
「ナ・バ・テア」の主人公と思われるクサナギという人物は出ていたように思う。パイロットではなく指揮官として。
もし同一人物ならば、空から引きずり降ろされて悲しいのではないかと思う。
他にキーワードとしては「不死」「成長しない子どもたち」「戦争としてのゲーム」という感じだろうか。
【感想】
最初読んだとき「エリア88」を思い出した。あれをもっとクールにした感じと思えばいい。

★ナ・バ・テア

飛ぶために、生まれてきたのだ。

【内容】
これが「スカイクロラシリーズ」の実質的な最初の巻らしい。
【はじまり】
美しい夕日に向かって、僕は飛んでいる。
【感想】
個人的には、相性がいいシリーズのようだ。
そのクールさが。
その衒学的なところが。
その希薄なところが、うすっぺらなところが。
(2012年11月08日読了)

★ダウン・ツ・ヘブン

大空で踊ろう 生と死のダンスを

【内容】
負傷したクサナギ。
そして気づく。
いつの間にか、かかわりたくない世界に組み込まれかけていることに。
しかし、ついに最も望んでいたダンスを踊る機会が来た。

【感想】
プラモデルで戦闘機をたくさん作ってきた人には楽しめる妄想の第三巻(ナ・バ・テアからなら二巻目)。
しかしこの巻は地べたの話が多い。その分クサナギがいろいろ考えることになり、面白くもあり、面白くなくもあり。
(2012年12月6日読了)

簡単なリスト

【赤座】前の基地で半年ほど同僚だった。
【明日】昨日や一昨日は、もう来ない。来るのは明日ばかりだ(ナ・バ・テアp.294)
【意志】人間の意志も、見えないところで広がるのかもしれない。(ナ・バ・テアp.250)
【岩】雲の中に浮かんでいる岩にぶつかったと思ったかもしれない。パイロットの間では、その岩の話は有名だった。(ナ・バ・テアp.61)
【嘘】《しかし、僕は、すべてに対して嘘で答えた。》(ナ・バ・テア)。《「嘘かもしれない」甲斐は即座に頷いた。「でもね、今の言葉は、私のこの口から出た言葉なのよ。その言葉を口にした私の立場を考えて」》(ダウン・ツ・ヘブンp.318)
【羨ましい】僕は、人を羨ましいと思ったことはない。それから、人に羨ましがられたいと思ったこともない。(ダウン・ツ・ヘブンp.112)
【大人】大人のパイロットはしつこい?
【甲斐】本部から来た女。たぶん大人。《いつものことだが、この人の周りには、この人の自信しか見当たらない。》(ダウン・ツ・ヘブンp.39)
【会話】話なんて、すべて余計なのだ。(ナ・バ・テアp.185)。話したいことなんて、いつも、どんな場合だって、ない。話したくないことが多すぎて、その下に埋れてしまっているのだろう。(ダウン・ツ・ヘブンp.110)
【カヤバ】萱場。甲斐の上司。ティーチャの古い友人らしい。
【カンナミ】病院で出会った少年。函南。パイロットらしい。《そう、飛んでいる。飛んでいるものを、僕たちはお互いの瞳の中に見ているのだった。》(ダウン・ツ・ヘブンp.53)。撃墜され記憶を失っているらしい。《思い出せませんが、パイロットとしての機能はすべて残っています》(ダウン・ツ・ヘブンp.128)
【危険】危険というのは、予測されるものだけに使う言葉だろう。(ナ・バ・テアp.45)
【基地】クサナギが新たに配属された基地のチームはティーチャがいるから名門とされていた。パイロットは全員で14人所属。
【キルドレ】大人にならない子どもたち。《子供はみんな、空を飛ぶ夢を見るのだ。》(p.235)
【草薙水素/くさなぎ・すいと】「ナ・バ・テア」「ダウン・ツ・ヘブン」の主人公。語り手。ティーチャのいる名門チームに配属された新人パイロット。「ナ・バ・テア」開始時すでに、かなりの腕のパイロット。《飛びたい。/離れたい。/今すぐにでも。》(ダウン・ツ・ヘブンp.46)
【クサナギと甲斐】クサナギと世界をつなごうとする存在。もちろん社命であり、彼女でなかったら誰か他の人間がその役となる。クサナギに少しだけ羨望の眼差しを送っているかもしれない。それにしても、外界におけるクサナギの最良の理解者ではある。クサナギの希求をあるていどわかっている。だからこそ、あるいはクサナギを空から引きずり降ろそうとする悪魔であるかもしれない。そのままいけばクサナギは空の存在のままいつか天に帰ってしまうだろう。
【クサナギとカンナミ】いずれ深くかかわりそうだが、今読んでいる「ダウン・ツ・ヘブン」前半の段階ではわからない。スカイ・クロラの主人公がそんな名前だったような気も少しする。もしそうなら、スカイ・クロラ以前に知己だったってことか。クサナギとティーチャの裏返しの関係かもしれない。《僕は、あなた以外じゃない》(ダウン・ツ・ヘブンp.228)
【クサナギと笹倉】戦闘機を通じてクサナギと最も近しい外界がメカニックの笹倉。互いに戦闘機が一番大切で孤独ではあるが、空の存在と地の存在であり、その空隙は結局のところ埋めることは不可能。
【クサナギと散香】現在のところクサナギにとって最も相性のいい機体。クサナギをクサナギでいさせてくれる。空への道。空戦時はクサナギ自身。あるいはダンスシューズ。
【クサナギと世界】クサナギにとって世界は無縁の存在。可能であるならば、他者とは関わりたくない。
【クサナギと空】クサナギは空にいられれば、そして同類たちと命を賭け金にしたダンスを踊っていられればそれでいい。《ずっと浮かんでいられたら良いのに。》(ダウン・ツ・ヘブンp.125)
【クサナギとティーチャ】自己と同質で、さらに強力な存在であるティーチャはクサナギにとって他とは全く異なる重みを持っている。憧れ、めざす対象であり、(そうとは意識していないがおそらくは)乗り越えるべきものであり、共にダンスを踊りたい最良のパートナー。ダンスを終えたとき彼女がどうなるのか。そのままなのか、それとも脱け殻になるのか。
【クサナギと比嘉澤】ほとんど登場しないし、クサナギに影響を与えたわけでもないが、その終わり方によってクサナギに何かは遺した。いつかそうなる自分の姿であるのかもしれない。
【クサナギとフーコ】クサナギとの接点は多くないが、なんらかのキッカケとはなっただろう。クサナギがなり得ないオンナという存在の象徴か。
【栗田】新人パイロット。と言ってもパイロットとして新人というわけではなく、基地にとって。
【勲章】アクセサリ。
【怪我】怪我というのは、いつだってそうなんだ。知らないうちにこっそりやってきて、知らないうちに躰の中に入り込んでくる。痛いな、と気がついたときには、もうすっかり自分のものになっていて、口に含んでやりたくなるくらい可愛く思えてしまう。そうやって人を騙す力が、怪我にはある。(ダウン・ツ・ヘブンp.31)
【向上心】自分には、向上心はありません(ナ・バ・テアp.248)
【合田/ごうだ】基地の指揮官?少なくとも部隊のトップ。たぶん大人。
【相良】医師。クサナギの旧知。
【笹倉】メカニック。観念的な話が好きな孤独な奴。クサナギと同時に配属された。
【散香/さんか】戦闘機の機種名。空冷エンジンを後方に搭載した軽量な機体。イメージ的には第二次大戦中に間に合わなかった震電ってとこか?クサナギの以前乗っていた機体。翠芽を挟み、後に改良型のマークA2に乗ることになった。
【死】「さあね。どっちも、同じくらい死んでるんじゃないかな」(ナ・バ・テアp.124)。《僕は、空で死ぬことを望んでいるのだ。》(ダウン・ツ・ヘブンp.180)。《最後の夕食になるかもしれないなんて感覚は、僕たちには日常茶飯事だ。》(ダウン・ツ・ヘブンp.183)。《明日死ねたら、とても幸せだと思った。》(ダウン・ツ・ヘブンp.195)
【弱者】機敏さってのは、逃げるものが欲しがる機能だ(byティーチャ ナ・バ・テアp.85)
【ジョーカ】敵陣営のかつてのトップエース。クサナギが墜とす。
【食事】パイロットに美食家はいない(by甲斐 ダウン・ツ・ヘブンp.108)
【翠芽/すいが】戦闘機の機種名。空冷21気筒。圧倒的なパワー。ちょつと不器用。イメージ的には第二次大戦米軍のサンダーボルトってとこか?クサナギが「ナ・バ・テア」開始時乗っている機体。
【鈴城】爆撃機。
【戦闘機乗り】一人で戦える奴だけが、空に上がってくる。(ダウン・ツ・ヘブンp.101)
【泉流/せんりゅう】無尾翼の偵察機。
【善良】仕事をしないでぶらぶらしていられるなら、誰だって、シンプルで善良な人生が送れるってこと(by笹倉 ダウン・ツ・ヘブンp.76)
【杣中】記者。誠実ではあるらしい。
【染赤/そめあか】戦闘機。プッシャの双発。おー、けっこう想像しにくいタイプ。
【空】舞台、そしてキルドレたちのふるさと。《やっぱり、雲の上が本当の空。》(ダウン・ツ・ヘブンp.293)
【大衆】大衆は騙されているんじゃない。(by杣中 ダウン・ツ・ヘブンp.190)
【地上】地上では、死んでいる者たちが、死ぬことを恐れ、雲に覆われた灰色の空しか見ていない。(ダウン・ツ・ヘブンp.180)
【チキン】鶏はチキンになる。さっきまで生きていたものが、いつの間にか美味しそうな食べものになっていく様を、じっと観察していた。どこから、自分はそれを食べたいと思うか、知りたかった。(ナ・バ・テアp.152)
【辻間】パイロット。クサナギが入りティーチャと一緒に飛ぶ座を奪われた。
【ティーチャ】パイロット。キルドレかどうかはよくわからない。物腰その他は大人のようにも思えるが、何の記述もないのでおそらくキルドレなんだろう。他者の参考にならないくらい滑らかに飛ぶ天才。150機くらい撃墜してる伝説の英雄。すべてのパイロットの憧れ。「命を粗末にするな」(ナ・バ・テアp.39)。いつか敵対陣営に移り、乗り越えるものとしてクサナギに撃ち落とされそうな気がするキャラだと、ほとんどの読者は出会った瞬間に思うだろう。
【敵】戦っている敵は、地上にいる人間たちよりも、自分に近い。(ダウン・ツ・ヘブンp.218)
【手抜き】周囲の連中には、わざと手抜きをして、無能な自分を見せることにしていた。そうでなければ、いざというときに困るだろう。(ダウン・ツ・ヘブンp.100)
【都会】人も車も多すぎるって、誰か気づかないのだろうか。(ダウン・ツ・ヘブン)
【トラクタ】戦闘機のタイプ。たぶんエンジンが前についていて、機体を牽引しながら飛ぶタイプのことか?
【トルストイ】ダウン・ツ・ヘブンの各章最初にあるアナグラムは「イワン・イリッチの死」から。
【涙】《誰のための涙でもない、彼女は自分のために涙を浮かべたのだ。それだけが、本当の涙だ。》(ダウン・ツ・ヘブンp.319)
【入院】なんという礼儀正しい草薙水素。いつから、こんなに大人しくなったのだろう。これではまるで入院患者だ。(ダウン・ツ・ヘブンp.57)
【粘性】纏いつくことで、きっと得られるものがあると信じているのだ。あるいは、そう信じたい。信じられることで安心したいのだ。(ダウン・ツ・ヘブンp.124)
【パイロット】クサナギが所属している会社の戦闘機パイロットの平均就業年数は2年8ヶ月。
【比嘉澤】比嘉澤の弟。キルドレではない。
【比嘉澤無位】新人パイロット。と言ってもパイロットとして新人というわけではなく、基地にとって。女。
【飛行場】都会ではあっても、ここは飛行場。だからこそ、僕はまだ生きていられる。(ダウン・ツ・ヘブンp.175)
【不安定】安定していることは戦闘機としては失格だ。(ナ・バ・テアp.275)
【フーコ】酔っ払って道のど真ん中で寝ていた女。基地のパイロットたちの遊び仲間。
【ブーメラン】クサナギのコードネーム。生きて戻ってくるからなのだろう。
【プッシャ】戦闘機のタイプ。たぶんエンジンが後ろにあって機体を押して飛ぶタイプのことか?
【部屋】部屋の中の空気は、煙草を吸うには少なすぎる。(ダウン・ツ・ヘブンp.123)
【褒められる】褒められることに価値を見出すことは、僕の根底を否定することに等しいように感じる。(ダウン・ツ・ヘブンp.126)
【本】僕は、本のタイトルなんて気にしたことがないので、自分がこれまで読んだものでも、一つとしてそれが言えない。(ダウン・ツ・ヘブンp.43)・・・ボクにもその傾向があるなあ。
【身軽】いつもドライで、そして身軽でいたいし、いつも、そのときに可能な最高のコンディションでいたい。(ナ・バ・テアp.10)
【水】水なんて飲むのは、久しぶりではないだろうか。(ダウン・ツ・ヘブンp.35)
【紫目】爆撃機。双胴。
【名所】行ってみたいな、と思ったけど、でも、行っても、きっと何もないだろう。この写真のとおりのものがそこにある、それだけだ。(ダウン・ツ・ヘブンp.147)
【毛利】指揮官。髭の長身。
【薬田】僚友。色白で丸眼鏡。頬に傷がある。
【役立つ】あの鳥だって、誰の役にも立ってない。空を飛ぶってことは、そもそもそういうことでしかないのだ。(ダウン・ツ・ヘブンp.78)
【優しさ】優しいものって、どうしてどれも止まろうとするのか。(ナ・バ・テアp.9)。思いやりや優しさというのは、他人から自分を切り離すためのもの(ナ・バ・テアp.162)。優しさが不自由さを作っているのだといえる。(ナ・バ・テアp.170)
【汚れ】仕事なんて、みんな汚いものだ。人間が生きていくこと自体が汚れている(ナ・バ・テアp.272)
【夜】僕は夜が好きだ。(ナ・バ・テアp.61)
【理由】理由がなければ、何も正しくないし、何も間違っていない。(ナ・バ・テアp.160)
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